作品に触れたときの驚きと新鮮さ
彫刻家・舟越桂の創作メモ 個人はみな絶滅危惧種という存在を読んでいたら、鑑賞者は初めて作品に触れたとき、強烈なものであれば驚きを得るだろう、しかし、二度目はどうか、何度も作品に触れているうちに驚きは消失するのではないか、とあった
続けて、驚きは失われても、新鮮さはいつまでも保持していてほしいと
先週の日曜日、ぼくはスガシカオのライブにいっていた
アルバムTHE LASTを引っさげたアンコール全国ツアーで、このアルバムの曲はどれも猥雑で混沌しながらもさまざまなエッセンスのようなものが凝縮されているようなのだが、生で聞いて初めてCDで聞いたときの驚きと新鮮さは得られたか?
生で聞くのとCDで聞くのはどう異なるのか?
CDではじめて聞いたときはものすごいセンセーショナルな気分になったのをおぼえている
なんども聞いているうちに慣れたのか、その感覚はすでに薄くなってきたが、ライブで聞いた得た感触はやはり何か違う
スガシカオ本人が、THE LASTの世界観をライブで伝えるのはすごく難しいと、Twitterでつぶやいている
まったく失敗していたとは思わないが、曲の入りの仕方、盛り上がる曲としんみりする曲の順序、間のしゃべりなど、いわゆる演出が大きく左右するだろうと、ライブに行ってはじめて実感した
ライブ後に本人が、これ以上のライブが今後できるのか、、と燃え尽きたかのように受け取れるつぶやきもしていた
演劇でもよく同じことを考えるが、演者が「ベストに演れた」という感覚を得たとき、観客にははたしてベストに伝わったのか、という問題が横たわる
物販で買ったCDは、このアルバムのライブ音源を収めていた
視聴会と題し、アルバムリリースを先駆けてファンに新曲をお披露目するライブの収録であった
はじめて聴いたときの、この曲すげえ!を直接ファンに味わってほしい、そんな思いから生まれた企画だったそうだ
CDで聞くにせよ、ライブで聞くにせよ、はじめて音楽と接せられる機会は一度だけだ
刺激的な驚きを得たい欲求もあるにはあるが、飽きられずに何度聞いても新鮮さを与えてくれるような作品に出会いたい
高松の商店街を見上げて